日本のジェンダーギャップ指数は世界と比べて非常に低く、2022年は146カ国中116位で、これは先進国の中では最低レベルです。日本の女性の社会進出が遅れている背景には、女性の役割と男性の役割が固定化されてきたことが原因の1つにあげられます。女性の世代ごとの労働力率グラフは、20代後半から30代前半で低下する、いわゆるM字カーブを描きます。これは結婚や出産、育児により、女性がいったん離職するためです。女性の社会進出を阻む課題となっているのは、まさにライフステージの変化による転換点です。令和になった現代でも、日本の多くの家庭では、結婚すると家事の大半を妻が担います。子育ても同様です。夫婦2人で行うのではなく、妻が行い、夫はその手伝いをするだけです。男性は外で仕事し、家族を養うのだから、妻が家庭のことをするのは当然という風潮があります。
男性が責任ある仕事をし、女性はサポートをするというのは、家庭に限った話ではありません。お茶くみやコピーなどは女性社員にさせるという古い体制の企業は少なくありません。女性の方がキャリアを続けるのが難しい分、賃金が上がりにくいのも女性が社会で活躍しづらい要因の1つです。女性の社会進出にとっての課題は、男女間にある固定観念を変えることでしょう。「男性は管理職であり、マネージメントするもの。女性は男性のサポート役」「家庭では男性は仕事をし、女性は家事と育児、介護をする」という役割から男女ともに抜け出せたときに、本当の意味で女性の社会進出が成功するはずです。